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笛吹川 東沢釜ノ沢

 密を避けられる近場で今年の暑さを乗り越えようと考えた頃、沢登りに関する本に両門ノ滝や千畳のナメなどが紹介され、これらの絶景を間近で見てみたいと思い、東沢釜ノ沢を遡行してきました。足に伝わる水の冷たさはたまらなく、沢登りの魅力でもあります。各ポイントは本で見たそのままの景色で素晴らしく、近場で美しい景色が広がる場所があるとは思いませんでした。
今回の山行を振り返ると、熱中症対策として
  ①もう少し水分を多く持っていくべき(今回は飲料水・調理水を含めて3Lを持参)
  ②うちわ若しくは首掛けの小型ファンの携帯が必要との反省点がありました。
異様な夏休みをアルプスなどの人込みを避けて過ごすことができて充実した山行でした。
                             またよろしくお願いします。

浅岡 記

西沢渓谷市営無料駐車場が満車だったため、道の駅みとみ駐車場からのスタートとなった。

東沢釜ノ沢は、先日実施の沢研修(ヌク沢)から程近く、美しいナメが特徴の遡行ルートでもあります。

ホラ貝のゴルジュは光の加減によってエメラルドグリーンに見える。
このルートは田部重治氏が『笛吹川を遡る』で「見よ、笛吹川の渓谷は逼り合って見上げるかぎり上方の方へ峭壁をなし、その間を湛える流れの紺碧の色は、くめども尽きぬ深い色をもって上へ上へとつづいている。流れはいつまでもかくの如き峭壁にさしはさまれているのだろうか。」と文章に著しています。
なお、文章は西沢渓谷に石碑として建っています。

釜ノ沢出合を越えて魚留ノ滝に着くと複数パーティに遭遇する。

ここで昼食休憩、この先からは本で見た絶景ポイントの連続となり、ワクワクする。

スラブ帯の通過でロープを使っているパーティもいたが、自パーティは使わずにスラブ帯を登る。

その先には、一枚岩を水が流れる千畳のナメが広がり、頭上から晴れ間が差してきた。

ナメの連続はラバーソールの沢靴だとグリップががっちり効く所、ヌメリで効かない所を見極めながら進む必要がある。

2つの滝が滝壺に落ちる両門ノ滝に辿り着く、本に載っていたままの景色だ!
右滝の水流沿いにフリクションを効かせながら登ってみる。

間違ってマヨイ沢に入らないよう、ヤゲンの滝を巻く。

ここは、右岸を高巻いて通過する。

越えた先には広河原が見え、各自テント・ツェルトを持ち寄って14:30に幕営を終える。

我々を入れても5パーティの貸し切り状態で、水が流れる音とセミの鳴き声を聞きながらビールで乾杯、19:00頃に消灯して明日に備えた。

2日目は、5:00に起床して身支度を整え、6:50に広河原を出発する。

この辺りから釜ノ沢の上流部へ差し掛かる。

水量は普通であったが、倒木を掻き分けながら遡行する。

自分はせっかくなので滝を高巻くのを極力避け、水の透明さと冷たさを全身で感じながら登った。

木賊沢の分岐手前にて。

これまでのお互いの健闘を称え合う。

今までのハイライトを振り返りながら、木賊沢を登りだす。
木賊沢の出合を左岸に出て、釜ノ沢にある樹林帯を上がりしばらくすると、ポンプ小屋が見える。
間違ってこの奥の木賊沢をそのまま詰めてしまいそうだ。

ポンプ小屋脇にある湧水はこの日も暑かったため、がぶ飲み。
体の水分を復活させてくれた!

甲武信ヶ岳山頂は曇りながらも、奥秩父周りの山々と眼下に遡行してきた東沢釜ノ沢を見渡すことができて良かった。
甲武信小屋には多くの登山者、トレランの人で活気付いていた。
下山は太陽光を浴びながら木賊山を経由して徳ちゃん新道を下り、道の駅みとみ駐車場に14:15到着。
笛吹の湯で汗を流して中央道の渋滞に巻き込まれながら帰王した。

〈行程概要〉
8/8(土) 高尾山IC 7:30⇒勝沼IC 8:20⇒道の駅みとみ駐車場 9:00→二俣吊橋 9:35
    →釜ノ沢出合 12:30→両門ノ滝 13:45→広河原 14:30(幕営)
8/9(日) 泊地 6:50→水師沢分岐 7:40→甲武信小屋 9:30(荷物をデポして山頂を往復) 10:50
    →木賊山から戸渡尾根へ下山→近丸新道と徳ちゃん新道との分岐 12:10徳ちゃん新道下山
    →西沢山荘(休業中) 13:50→道の駅みとみ駐車場 14:15⇒(笛吹の湯経由)勝沼IC 16:00
    ⇒高尾山IC 17:45

正月山行 厳冬期の農鳥岳へ

 今年の正月山行は、南アルプスの農鳥岳に行って来ました。3日間共素晴らしい天候に恵まれて、充実した山行となりました。

 1/3  奈良田発電所前まで入り、大門沢小屋まで川沿いに歩く。冬山装備もあって思うようにペースは上がらない。途中、渡渉する箇所や凍った石の上も歩くこともあり、ヒヤヒヤする場面もあった。16時に大門沢冬季開放小屋に到着、すれ違った人は2人だけで小屋は誰もいなく、我々3人だけであった。小屋から出ると、目の前には夕日に染まる富士山を見ることができた。

 1/4  4時30分に小屋を出発し、農鳥岳へ目指す。アイゼンを装着し、真っ暗の中ヘッデンを付けてひたすら上る。風が強くならないか心配であったが、稜線に出ても風は思っていた程強くなかったため安心する。しかし、稜線に出てからは岩と氷のミックス状態でアイゼンワークを必要とする。11時に農鳥岳に登頂を果たす。目の前には北岳や富士山、中央アルプスなど360度白銀の山々を見渡すことができてとても感激だった。時間もあったため、西農鳥岳まで往復することにした。足跡はほとんどなかったが、岩に書かれているマーキングを頼りに西農鳥岳にも登頂することができた。時間の許す限り、山頂からの景色を楽しみ、大門沢冬季開放小屋へ戻る。

 1/5  大門沢冬季開放小屋を利用させてもらったことに感謝しつつ、7時30分に出発する。この日は誰とも人とすれ違わずに11時30分に奈良田発電所に下山した。下山後は奈良田の里温泉に浸かり3日間の疲れを取って帰王した。人と会わず静かな山行であったが、私自身とても充実した3日間でした。

浅岡 記

奈良田発電所前にて。

この辺りは雪はなく、川のせせらぎを聞きながら歩く。

大門沢小屋に到着。

私達3人のみの宿泊です。

小屋からは富士山を間近に見ることができました。

大門沢下降点でのワンシーン。

ここからは岩がゴツゴツ出てくるようになり、雪も氷に変わってくる。

農鳥岳山頂。

約7時間かけて登頂することができて感激だった。

西農鳥岳山頂にて。

目の前に北岳、間ノ岳、農鳥小屋を見ることができる。

農鳥小屋は雪に埋もれているのが確認できた。

大門沢下降点から農鳥岳までの稜線は、白銀の山々を見ることができた。

下山は前夜に新雪があり渡渉は滑りやすい。

バランスを取りながら慎重に渡る…!

五竜岳~鹿島槍ヶ岳

 昨年、悪天候で実施できなかった五竜岳~鹿島槍ヶ岳に行って来ました。

 9/14 ゴンドラリフトを使って八方尾根を登り、唐松岳へ向かう。この日は快晴で汗はダラダラと滴り、少し進んでは一本を繰り返す。14時30分頃に唐松岳頂上山荘に到着、荷物を空身にして唐松岳に登る。頂上は雲に覆われていたが、雲の隙間からは立山連峰から五竜岳を望むことができ、明日からの縦走に期待することができた。山荘は満員だった様で4畳の部屋に7人が寝る形であった。

 9/15 4時に起床、ストレッチを行って5時に出発する。初めて岩場に臨む人が多かった?影響なのか牛首は渋滞となってしまい、通過に時間を要してしまった。7時40分には五竜岳山荘へ着く。五竜岳山荘で「山が好き、酒が好き」Tシャツを購入し、五竜岳に登る。ここから岩稜帯となるため、登る人と下る人がお互いに声を掛け合いながら通過する。9時頃に山頂に到着、皆の体調と天候を判断し、キレット小屋へ向かう。G4とG5の岩場を慎重に通過、14時頃にはキレット小屋に到着。小屋では、同じルートを行くパーティの方とお酒を酌み交わしながら、明日の鹿島槍ヶ岳に期待する。

 9/16 4時に起床、4時45分にキレット小屋を出発する。ここから八峰キレットと呼ばれる、横がスパッと切れた岩稜とクサリ、ハシゴの連続となる。ヘッデンで目の前を照らしながら通過する。周りが暗かったお陰で恐怖感を感じることなく、通過することができた。次第に鹿島槍を覆っていた雲が取れ始め、北峰と南峰を目の前に望むことができた。6時40分に北峰、7時40分に南峰に到着する。冷池山荘辺りから天候が曇りとなり、晴れた状態で鹿島槍ヶ岳に登ることができて良かった。12時頃に種池山荘に到着、15時頃には扇沢へ下り、3日間の壮大な計画を終えることができた。

浅岡 記

鹿島槍ヶ岳山頂にて。皆で握手を交わし達成感を味わう。
唐松山頂にて。
暑くて持ってきた水を飲み切ってしまった。
牛首付近にて。
太陽の日差しを浴びながら、慎重に通過する。
五竜岳付近の岩稜にて。
余裕の顔を見せ、ポーズを決める。
五竜岳頂上にて。
いよいよキレット小屋へと向かう。

G4を通過、目の前にG5と鹿島槍ヶ岳を望む。

キレット小屋に近付くが、岩稜帯は一向に続く。
八峰キレットにて。
声を掛け合いながら、慎重に通過する。
道中、雷鳥を見ることができた。
鹿島槍ヶ岳北峰にて。
目の前に南峰を望み、山行が終わりに近づこうとすると感慨深い。
柏原新道を下り、目の前にはゴールが見える。
3日間縦走できたことの達成感は大きかった。

 

槍ヶ岳

 7月26日~28日にかけて槍ヶ岳に行って来ました。当初、週末の天気は晴れの予報でしたが、直前になって熱帯低気圧が発生し、本州を直撃の恐れが出るかもしれない状況の中で判断が難しかった山行でした。
 7月26日 早朝5時に八王子を出発、8頃に沢渡に到着後タクシーにて上高地バスターミナルに向かいました。荒天で中止になる山行が多い中で、運よく晴れ間が差した日に実施できパーティ一同はテンションが上がるばかりで、14時頃には1日目の宿泊地である槍沢ロッヂに到着しました。翌日以降の安全登頂を祈願し、お酒を飲みながら山談議に大盛り上がりでした。
 7月27日 前日の天気予報では午前中まで晴れるが、午後から雨の予報とのことで、出発時間を計画から早めて4時半頃に出発しました。2日目は東鎌尾根を経由して槍ヶ岳へ向かいました。東鎌尾根は、窓と呼ばれる垂直梯子と随所にある岩稜帯の連続が特徴で、注意しながら慎重に通過しました。そんな中、天気は文句のない快晴となって、目の前には槍ヶ岳や4月に登頂した北穂高岳も見ることができて、みんな感激でした。10時半に槍ヶ岳山荘に到着しましたが、すでに辺りは霧だらけで視界はありませんでした。登頂するか迷いましたが、これからの天気予報も悪くなる一方でしたので、この時間しか登頂できないと判断し、槍の穂先にアタックしました。徐々に雨が降り始め、岩が濡れてきたため、一歩一歩安全を確かめながら三点支持を意識して着実に取りついていきました。無事全員に登頂でき、みんなで喜びを分かち合いました。雨が強くなったため早々に下山して12時には槍ヶ岳山荘へ戻り、登頂成功を祝して乾杯しました。
 7月28日 5時に起床し、外の様子を確認しましたが、雨と強風で登頂には全く適していない状態でした。2日目に登頂して良かったと思いました。3日目は6時に出発、上高地に向けてひたすら下山するだけです。小休止を挟みながら軽快に歩いて13時半頃には上高地バスターミナルに着きました。
 天候の様子を見ながら、適宜計画を変えたためにメンバーの方にはご迷惑をお掛けしましたが、無事に登頂することができて本当に良かったと思う山行でした。メンバーの皆さん大変お疲れ様でした!!

浅岡 記

1日目の宿泊地である槍沢ロッヂにて。
山行の成功を祈願して乾杯をしました。

2日目の東鎌尾根から見た槍ヶ岳です。
憧れの槍ヶ岳を拝むことができて、みんな興奮していました。

貴重な晴れ間の中で記念に槍ヶ岳をバックに写真を収めました。
ところが、槍ヶ岳山荘に到着したら、ガス状態でした。
わずかな時間を狙って穂先へアタックしたが、周りが見えなかったからかあまり怖く感じなかった?

山頂に着くも周りはガスだらけ。
景色が見れなくて残念でしたが、無事に全員登頂できて良かったと思いました。

3日目の朝、さらにひどい状態となっていました。
2日目に登っておいて良かったと改めて感じました。
下山後、河童橋にて。
みんなの顔から登頂の喜びと無事下山できてほっとした表情が浮かびます。